お歳暮に現金は失礼？のし袋の書き方とマナー・おすすめ文具まとめ

お歳暮といえば品物を贈るのが一般的ですが、相手の好みが分からない場合や、実用性を重視して「現金」や「商品券」を贈りたいと考えることもあるでしょう。しかし、現金を贈る行為は、相手によっては「生活を助ける」という意味に取られ、失礼にあたる場合もあります。この記事では、お歳暮として現金を贈る際の基本的なマナーや、正しく丁寧なのし袋の書き方、準備しておきたい文具について詳しく解説します。

お歳暮の現金はのし袋でOK？失礼にならない渡し方の基本

お歳暮に現金を贈ることは、決して間違いではありません。特に、親しい親戚や、定例として現金をやり取りしている間柄であれば、相手が自由に使える現金は喜ばれることも多いです。ただし、目上の方や会社の上司に対して現金を贈ることは、伝統的なマナーとしては避けるべきとされています。現金を贈る際は、のし袋を正しく選び、形式を整えることで「感謝の印」としての体裁を保つことが大切です。

現金を選ぶときの注意点

お歳暮に現金を選ぶ際、最も注意すべきなのは「贈る相手との関係性」です。一般的に、部下から上司へ、あるいは教え子から先生へといった目上の方に現金を贈るのは、失礼にあたるとされています。もし品物選びに迷う場合は、現金そのものではなく、全国で使える百貨店の商品券やビール券、カタログギフトなどを検討するのが無難な選択です。品物に近い形をとることで、相手の自尊心を傷つけずに実用的な贈り物ができます。

また、現金を贈る場合は、必ず「新札」を用意してください。お歳暮は一年間の感謝を伝えるお祝いの行事の一つですので、使い古されたお札を包むのは不作法です。新札を用意する行為自体が「前もって準備していた」という誠意の表れになります。金額についても、多すぎると相手に気を使わせ、少なすぎると失礼になるため、一般的な相場（3,000円から10,000円程度）を意識して決めるようにしましょう。

のし袋の表書きの正解

現金を包む際は、必ず「のし袋（祝儀袋）」を使用します。剥き出しのままや、茶封筒に入れて渡すのは厳禁です。表書きの書き方ですが、中央上部には「御歳暮」と濃い墨の筆や筆ペンでくっきりと書きます。四文字（お歳暮など）は「死文字」として嫌う方もいるため、三文字の「御歳暮」とするのが最も一般的で間違いのない書き方です。最近では、あらかじめ「御歳暮」と印刷されたのし袋も多く販売されています。

下部には、自分の名前をフルネームで書きます。上部の「御歳暮」という文字よりも少し小さめに書くと、全体のバランスが整って美しく見えます。筆記具は、ボールペンやサインペンではなく、必ず毛筆か筆ペンを使用してください。薄墨は葬儀などの弔事用ですので、お歳暮には必ず濃い黒のインクを選びます。丁寧に、一文字ずつ心を込めて書くことが、相手への敬意を伝える第一歩となります。

水引の種類と選び方

のし袋を選ぶ際に最も重要なのが「水引（みずひき）」の種類です。お歳暮は「何度繰り返してもおめでたいこと」に分類されるため、水引は「紅白の蝶結び（花結び）」を選びます。蝶結びは結び直しができることから、継続的なお付き合いを願う意味が込められています。一方で、結婚祝いなどで使われる「結び切り」は、二度と繰り返さないという意味になるため、お歳暮には絶対に使用しないでください。

また、のし袋の右上に「のし（アワビを模した飾り）」がついているものを選びましょう。水引の本数は5本または7本が標準的です。あまりに豪華すぎる水引がついた袋は、中身の金額（数千円程度）と不釣り合いになり、かえって失礼になる場合があります。包む金額に見合った、シンプルながらも質の良いのし袋を選ぶのが大人のマナーです。最近では、カジュアルなデザインののし袋もありますが、正式な挨拶としては伝統的な白地のものが安心です。

渡す時期と渡し方のマナー

お歳暮を渡す時期は、一般的に12月初旬から20日頃までとされています。地域によって多少前後しますが、あまり遅くなると相手の年末の準備の妨げになるため、早めに手配するのがスマートです。手渡しをする場合は、のし袋をそのまま持ち歩くのではなく、必ず「ふくさ（袱紗）」に包んで持参してください。相手の前でふくさから取り出し、のし袋の正面を相手に向けて両手で差し出すのが正式な所作です。

もし郵送で現金を贈る場合は、普通の封筒にのし袋を入れて送ることはできません。郵便局の「現金書留」を利用する必要があります。のし袋にお金を入れ、それを現金書留専用の封筒に入れて発送します。その際、のし袋だけを送るのではなく、一年間の感謝を綴った「添え状（挨拶状）」を同封するのがマナーです。現金だけが届くのは味気ないものですので、言葉を添えることで贈り主の温かい気持ちをしっかりと届けましょう。

お歳暮の現金におすすめののし袋・文具

現金を贈る際は、袋の質感や筆の跡が第一印象を左右します。お世話になった方へ失礼のないよう、信頼できるメーカーののし袋や、書きやすい文房具を揃えておくのがおすすめです。ここでは、お歳暮の準備に役立つ高品質なアイテムを厳選してご紹介します。

マルアイ「のし袋 御歳暮（蝶結び）」

伝統的なデザインで、どのような相手にも安心して使える定番ののし袋です。あらかじめ「御歳暮」の文字が印刷されており、書き損じの心配がありません。

商品名	のし袋 御歳暮 蝶結び
ブランド	マルアイ（MARUAI）
特徴	上質な和紙を使用し、水引が美しく印刷された使いやすいタイプ
公式サイト	マルアイ公式サイト

エヒメ紙工「祝儀袋 のし袋 御歳暮」

コストパフォーマンスに優れ、親戚や知人など複数の方へ贈る際に重宝するセットタイプです。清潔感のある白地が特徴です。

商品名	御歳暮用 祝儀袋セット
ブランド	エヒメ紙工
特徴	複数枚入りで、急な準備が必要な時にも便利
公式サイト	エヒメ紙工公式サイト

菅公工業「金封 のし袋（蝶結び・短冊付き）」

厚手の高級紙を使用した、少し改まった相手にも最適な一品です。短冊がついているため、文字を書きやすく、失敗しても差し替えが可能です。

商品名	金封 蝶結び 短冊付き
ブランド	菅公工業（うずまき）
特徴	紙にハリがあり、中身のお札をしっかり守る高級感のある作り
公式サイト	菅公工業公式サイト

コクヨ「金封ふくさ（慶弔両用）」

現金を直接手渡しするなら、ふくさは必須アイテムです。慶事・弔事どちらにも使える落ち着いた色味を選んでおくと、生涯役立ちます。

商品名	ソフトふくさ（慶弔両用）
ブランド	コクヨ（KOKUYO）
特徴	出し入れがスムーズで、のし袋の角が折れるのを防ぐ
公式サイト	コクヨ公式サイト

ぺんてる「筆ペン ぺんてる筆（中字）」

のし袋への名前書きに最適な、ロングセラーの筆ペンです。本物の筆のようなコシがあり、初心者でも美しい文字が書けます。

商品名	ぺんてる筆 中字
ブランド	ぺんてる（Pentel）
特徴	インクの出が良く、最後までくっきりとした黒色で書ける
公式サイト	ぺんてる公式サイト

マルアイ「新札用 祝儀袋（中袋しっかり）」

中袋がついているタイプで、新札を包んだ際にお札が透けにくく、丁寧な印象を与えます。少し多めの金額を包む際にも適しています。

商品名	特上 祝儀袋（中袋付）
ブランド	マルアイ（MARUAI）
特徴	重厚感があり、目上の方や親戚への正式な贈り物に最適
公式サイト	マルアイ公式サイト

迷いやすいケース別｜会社・親戚・お世話になった人の書き方

現金を贈る際、のし袋の名前の書き方や金額の相場は、相手との関係性によって微妙に異なります。特に会社関係や連名で贈る場合は、順番やバランスを間違えると失礼になることもあるため注意が必要です。ここでは、ケース別の具体的な書き方のルールと、郵送する際の細かな配慮について詳しく解説します。

会社関係での名前の書き方

会社関係でお歳暮を贈る場合、差出人の名前は個人のフルネームだけでなく、会社名や役職を添えるのが一般的です。のし袋の正面、名前の右側に少し小さめの文字で会社名を書きます。そして、中央に役職と氏名をバランスよく配置しましょう。もし社長など特定の個人ではなく「〇〇株式会社一同」として贈る場合は、中央に大きく団体名を書き、具体的な内訳は別紙（中包みなど）に記すのが丁寧です。

近年では、会社としての贈答を禁止している企業も増えているため、事前に相手先のルールを確認しておくことも大切なマナーです。個人としてお世話になった上司に贈る場合は、会社名は入れずに個人のフルネームのみで問題ありません。どちらの場合も、筆ペンを使って「止め・跳ね・払い」を意識し、読みやすく丁寧な文字で書くことが、相手への信頼感を高めることに繋がります。

連名にする場合の順番

家族一同や、兄弟、同僚などのグループで現金を贈る「連名」の場合、名前を書く順番には明確なルールがあります。まず、最も目上の方（あるいは代表者）の名前を中央に書きます。その左側に、順に他の方の名前を並べていきます。最大でも三名程度までにするのが、のし袋としての美しさを保つ目安です。四名以上になる場合は、代表者の名前の左に「他一同（または家族一同）」と書き、全員の名前は別紙に書いて中に同封します。

夫婦で贈る場合は、夫の氏名を中央に書き、その左に妻の名前（下の名前のみ）を並べるのが一般的です。最近では、夫婦別姓や対等な立場として、両方のフルネームを並べて書くケースも増えていますが、贈る相手が伝統的なマナーを重んじる方であれば、夫の名前を優先する書き方の方が無難です。名前が横に広がりすぎないよう、文字の大きさを調節して、水引にかからない位置に収めましょう。

金額の目安と新札の扱い

お歳暮で贈る現金の金額は、相手との付き合いの深さによって決まりますが、一般的には3,000円、5,000円、10,000円といった区切りの良い数字が選ばれます。特にお世話になった親戚などであれば10,000円、形式的な挨拶であれば3,000円から5,000円が相場です。「4」や「9」といった忌み数は避け、感謝の気持ちを表すのにふさわしい金額を設定してください。また、中袋の裏面や表面には、必ず包んだ金額を「金 伍阡圓（五千円）」のように漢数字で記載します。

新札の準備は、贈る側の「あなたを大切に思っています」というメッセージそのものです。アイロンでシワを伸ばしたお札ではなく、銀行の窓口や両替機で入手した、折り目のない本物の新札を用意しましょう。のし袋に入れる際はお札の肖像画が上に、かつ袋の正面に来るように向きを揃えます。こうした細かな配慮の積み重ねが、現金を「単なるお金」から「心のこもった贈り物」へと昇華させてくれるのです。

郵送するときの入れ方と添え状

遠方に住む方へ現金を贈る場合、現金書留を利用しますが、その際も「のし袋」は省略しないでください。現金書留専用封筒の中に、直接お金を入れるのではなく、一度お歳暮用ののし袋に新札を収めてから封入します。これにより、郵便物を受け取った相手が封を開けた瞬間、それが「お歳暮」であることを理解し、形式に則った丁寧な贈り物であることを感じ取ることができます。

さらに、郵送の際に欠かせないのが「添え状（送り状）」です。「一年間のご無沙汰をお詫びし、厚く御礼申し上げます。心ばかりの品（現金の場合は『しるし』など）をお送りいたしましたので、ご笑納ください」といった内容を一筆箋や便箋に書き、のし袋と一緒に封筒に入れます。言葉を添えることで、直接顔を合わせられない寂しさを補い、感謝の気持ちをより深く伝えることができます。配送状況を追跡できるメリットを活かし、相手が確実に受け取れるよう配慮しましょう。

お歳暮の現金とのし袋で失敗しないためのまとめ

お歳暮に現金を贈る際は、品物を贈る以上に入念なマナーへの配慮が求められます。紅白の蝶結びの水引がついたのし袋を選び、濃い墨の筆ペンで丁寧に「御歳暮」と記し、必ず新札を用意しましょう。目上の方へは商品券などの代替案も考えつつ、相手との関係性に合わせた金額を包むことが大切です。手渡しならふくさを使い、郵送なら添え状を同封する。こうした一つひとつの丁寧な所作こそが、一年を締めくくる最高の贈り物となります。